長野市から、戸隠へ。飯綱高原を経由して行く高原道路「バードライン」は、
白樺や落葉松の森の中に蕎麦どころやカフェが点在する人気のドライブコースだ。
とくに夏は、東京に匹敵する猛暑の市街地からわずか20分で高原の涼を
味わえるとあって、多くの人が訪れる。

「バードライン」の途上にある飯綱高原の入り口・大座法師池を過ぎ、
登山口方面に差しかかると、落葉松や白樺の森に洋館が見え隠れし、
いい雰囲気。

洋館は3館ある。
まず、「長野カントリークラブ」の向かい、「飯綱登山口」バス停付近には
明治37年(1904年)、長野の市街地に建てられたカナダ・メソジスト派の
宣教師ダニエル・ノルマンの旧宅が。

ノルマンは野尻湖に「外国人村」を開いた人でもあり、軽井沢・カナダ・長野を
行き来して布教につとめた。
誠実な人柄から、軽井沢では“村長さん”と親しまれたという。

ノルマン邸に隣接して、旧・長野師範学校教師館がある。
明治8年(1875年)に建てられ、現存する師範学校としては
わが国唯一という。


ひとつ戸隠寄りのバス停「一の鳥居」付近にある大きな洋館は
大正2年(1913年)竣工の旧・長野県庁。
戸隠・飯綱山を望むひろびろとして手入れのよい公園「一の鳥居苑地」を
背景に、クラシックホテルの趣すらある。

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現在は「自治研修所」として県庁職員の研修に使われているそうだが、
いつ通りかかっても人の気配を感じない。

これらの館は、1970年代にこの場所に移築された。
うち、上記の2館は長野県指定の重要文化財に指定され、現在、県最大手の
建設会社・北野建設が保有。
外から見た限りでは維持・管理もきちんとなされているようだ。
内部はどのようになっているのだろう?予約すれば見学も可能らしいが、
貴重な歴史的建築物が、このまま人の目に触れることがないのは
何か惜しい気もする。

建物の存在を広く知らしめて、今に生かす方法はないものだろうか?
運転しながら思いはあちこちに・・・。