八ヶ岳に別荘をもつ方より、小淵沢の身曾岐神社で先週の8月3日に「八ヶ岳
薪能」が演じられたと聞いた。

身曾岐神社には、早春の頃に立ち寄った事がある。
12万平方メートルもの敷地。大きな池の上に、神明造りの神殿がオゴソカに
建っていた。
水の上の木造建築、湿気対策はどうしているのだろう?
その時はそちらの方が気になったように思う。そういえば、本殿の近くに
能楽殿があった。
にわかの特設舞台の多い薪能の中で、能楽殿で演じられる「八ヶ岳 薪能」、
雰囲気充分で、見ごたえがあったのでは。



以前、長野県飯綱町の霊仙湖畔で「薪能」を観た。はじめの演目である狂言は
薄暮時にスタートするので、ヒグラシや山の鳥の声がまだ賑やかで、
例えばイカルの、「もう夕飯、食べた~???」とも聞きなされるような、
ひょうきんなさえずりがかすかに聞こえてきたりして、何だか可笑しくなる。
都会の能楽堂に行ったときのように、思わず息を止めてしまうほどの緊張感は
ない。

やがて、狂言が終わる頃に暗闇が訪れる。森は動物たちの気配を漂わせ
ながらもみるみる静まり、気温は肌寒さを感じるほどに下がってくる。
松明が焚かれ、メインの能が始まると、観客は幽玄の世界に引き込まれていく…。

薪能だけでなく、欧州の夏のリゾート地ではおなじみの野外音楽会。近年
日本にも増えてきて、八ヶ岳では清里の「萌木の村」で9日まで「清里フィールド・
バレエ」の公演もある。

大自然に囲まれ、ひんやりと爽やかな空気の中、心の底からリラックスして
芸術を味わう。夏の高原ならではの醍醐味だ。