山に家を持ったけれど、鱒や岩魚より海の魚が好き、という向きはとくに
首都圏人に多い。長野県北部・黒姫や飯綱方面に別荘を持つ人々に
重宝されているのが、新潟県上越市郊外の“魚のアメ横”「魚勢(うおせい)」
だ。

上信越道を使えば、信濃町ICから上越ICまで30分足らず。国道18号を
使っても
1時間とかからない。種類も多く、もちろん市価より安価だから、休日の
駐車場は各地から来た客の車で満杯。


倉庫のように広い店内に、首都圏ではあまりなじみのない北の魚介類の
入った大小のトロ箱が溢れる。蒲鉾などの加工品も販売しているが、
ほとんどのお客さんの目はトロ箱の中身のチェックに忙しい。冬場は、
蟹だけを揃えたコーナーも現われる。

左上はファニーフェイスなウマヅラハギ(肝も美味)、右下は、風貌に似合わず
白身で、繊細な味わいのハチメ。

ソイ。キツネメバルとも呼ばれる。カサゴの仲間でこちらも白身。

左はホーボー。右はホーボーのそっくりさん、カナガシラ。じっくり較べてみると、
ホーボーより“オデコ”な点を除いては瓜ふたつ。赤い色から、このあたりでは
鯛に代わる縁起のよい魚としてお祝いの膳にも登場するとか。お刺身もいいし、
バーベキューで蒸し焼きや、アクアパッツァにしても美味しい。
 
3kgとずっしりな平目は市価の半額くらい。

蛸と鮟鱇は丸ごと!西欧では悪魔の使いに例えられるのも無理からぬ
蛸の姿…。鮟鱇、「安くなりました」の札が春の訪れを感じさせる。
  


自分で捌くのはどうも、という人は、頼めば、お店の威勢のよいお兄さんが、
手間を厭わず3枚にでも5枚にでも卸してくれる。

日本海まで車で5分ほど。高台には風力発電の巨大な風車が数基(前出
「魚勢」の背後の山に見える)。冬の日本海の強風や雷による被害による
採算の難しさが問題になったあの風車だ…。

冬の荒天など想像もつかないほど、爽やかな晴天に恵まれたこの日。谷浜
海水浴場にはキャンパーがたくさん止まり、そこかしこにバーベキューの煙が
立ち昇っていた。