フランスは、食料自給率100%、ヨーロッパ最大の農業国。
その上、小学校の給食すらおとなと同じフルコースと聞いて、さすがは
グルメの国!と感心していたが…。
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一方で、「農薬大国」でもあった。
農薬によって汚染された土や水、添加物を多用した食物に、かねてから強い
危機感をもっていた南フランス・ラングドック地方のバルジャック村では、
村の施策によって農地の一部をビオ(オーガニック)に転換、2006年に
小学校給食と高齢者へのケータリング食をすべてビオ化し、国内における
ビオ給食の先鞭をきった。
それから数年後の村の現在をドキュメントしたのが映画「未来の食卓」である。

村のすべての農家が有機農法に転換したわけではない。
従来農法の従事者たちは、「ビオでは農産物が足りなくなる」「手間がかかり
過ぎ、経営が成り立たない」と口を揃える。
一方で「出荷用の野菜とは別に、家族用の畑を作ってきた」との言葉や、
農薬散布後に「鼻血が止まらない」「1週間以上、排尿ができなくなる」
などの身体的異状に耐えている様子も紹介される。

映画は安全以上に利潤を追求する食産業を痛烈に批判するわけではない。
しかし、農薬の問題だけでなく、牛などの食用動物を飼育するための
エネルギーやコストも地球を圧迫している」などの状況を淡々と述べ、
人類の飽食に警鐘を鳴らす。
「地球上からハチがいなくなったら、人類は余すところ 4年しか生きられない」。
かのアインシュタインの予言だそうだ。
戦慄!先日、ミツバチの世界的な激減がニュースになったばかりではないか。

ラストで、ジャン・ポール・ジョー監督は、ドストエフスキーの「美こそ世界を
救う」という言葉を引用し、美しい自然を守ることは子ども達と地球の未来を
守ることだ、と結んでいる。


本国では大ヒットを記録し、論議を巻き起こした映画だそうだ。
フランスWWF(世界自然保護基金)では、今年の夏から、全国の学校給食を
ビオに転換するよう、国家的なキャンペーンを開始。
主旨は、ビオによって、「農業者たちは適正な利益を得ることができ、
地方では現在より20?30%のさらなる雇用を生み出すことができる。
また納税者は農薬の使用から生じる、汚染除去の費用や医療費を
節約できる」。

さてほかならぬわが国では…?

同作品HP ↓
http://www.uplink.co.jp/shokutaku/
渋谷の「アップリンク」、銀座の「シネスイッチ」で上映中。
「アップリンク」には、美味しいクスクスを食べさせてくれるカフェあり。
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■ ちょっと宣伝/オーガニックと趣旨はやや異なりますが、
マクロビオティック料理研究家・中島デコさんを房総のお住まいと
レストラン、畑に取材した「リゾート物件情報」のバックナンバー
(2007年秋号「菜園と温泉付物件ガイド」)も、よろしかったら
お読み下さい。
ご購入はこちらから。
http://reson-ltd.co.jp/book/rizobutu07-autumn.html