王湯は800年前に源頼朝によって発見されたと伝えられており、
源氏の紋所「笹竜胆」が建物正面に掲げられている。
そして王湯の源泉は今も川原湯温泉の湯元となっている。

王湯 入口

この温泉街の建物は八ッ場ダムが完成すれば湖に沈んで
しまうことになっていたので、近年は改築も新築もされず、
かなり老巧化しているように見える。
王湯も相当古いようだが、それなりに情緒のある建物だ。

入口で料金の300円を払って、まず渡り廊下を通って
別棟にある露天風呂に入ることにした。
急な階段を下りていくと、入口のドアも仕切りもなく、
突き当たったところがそのまま脱衣所になっている。

渡り廊下 階段の突き当たりが脱衣所

脱衣用の棚は十以上に仕切られていたが、
湯舟を見ると3人も浸かれば満員になってしまいそうな大きさだ。

脱衣所の棚 露天風呂

掛け流しだが源泉が80度前後と熱いので、温泉と共に
冷たい水も掛け流しされていて、お湯は少し温過ぎる感じだったが、
温いお湯が好きなのでゆっくりと浸かることができた。

直射日光が当たらず、気持ちの良い露天風呂

樹木に囲まれているので眺望は開けていないが、強烈な直射日光が
広葉樹の葉に遮られ、柔らかな木漏れ日に変わり、非常に気持ちが良く
湯舟に浸かりながら昼寝してしまいそうだった。

露天風呂と内湯は別の建物になっているので、内湯に浸かるには
一度服を着て戻らなければならない。
面倒だと思ったが身体と頭を洗いたかったので内湯にも入ることにした。

男湯の看板 女湯の看板

本館に戻り階段を下りると男女別に脱衣所があり
石に刻まれた看板が付けられていた。

浴室は脱衣所から更に下がったところにあり、
裸で階段を下りていくと湯舟がある。

階段を下りると湯船 内湯

こちらもお湯と水が掛け流しにされているが、湯口が3箇所あるそうで、
露天風呂ほど温くはなく適温に調整されていた。

掛け流しで適温に調節されている内湯

施設そのものが古いので、明るい清潔なイメージはないが、
どことなく郷愁を感じさせてくれ、山の中の鄙びた温泉らしい
風情のある建物で、ダム建設が取り止めになり、湖に沈むことなく、
このまま、古いままで残って欲しいと願っている。