2008年11月 06日
岡山県倉敷市「美観(びかん)地区」
倉敷、とくに倉敷川を中心とした「美観地区」は、町おこしのその先・・・
町家(まちや)や蔵などの歴史的建築群や独自の文化を核に据えた地域振興の
成功例として知られる。文化庁選定の伝統的建造物群保存地区でもあり、
地域振興や観光客の誘致を目指す国の市町村にとっては、お手本のような
存在だ。
なだらかな低山を背景に、柳並木が影を落とす倉敷川沿いに白壁・なまこ壁の
町家(実際に人が住む)をはじめとした歴史的建築や大原美術館・アイビー
スクエア・倉敷民藝館、倉敷考古館が美しい町並みをつくる。
江戸幕府の直轄地「天領」として栄えた倉敷だけに、財・知の粋を集めた「美観
地区」の醸す雰囲気は、他の追従を許さない観も。
1930年に開館したわが国の西洋美術館の先駆け、大原美術館。エル・グレコ
「受胎告知」やモネ「睡蓮」の所蔵品はあまりに有名だが、初見参のフォートリエ
「人質」が強く印象に残った。
本館・工芸館・東洋館からなるが、東京・駒場の民芸館をよく訪れる身に、
宝箱のような工芸館は立ち去りがたく、順路も無視してウロウロ。
美術館の敷地内。茅葺屋根の小さな建物は守衛さんの詰め所。
なまこ壁の後ろにビルが見えるが、違和感はあまりない。高さも色彩も厳しい制限があるのだろう。
ホテル・結婚式場を擁する複合型観光施設・アイビースクエア。倉敷紡績の
工場を、1974年、この町出身の建築家・浦辺鎮太郎によるリノベーションで
オープンしたもの。
中庭の池には、フランス・ジベルニーのモネの庭から大原美術館に贈られた
睡蓮を株分けしたものが咲いていた。写真ではわかりにくけれど、鮮やかな
ピンクの睡蓮もあった。
平日だったので、この町の素顔のようなものも見ることができた。倉敷川のほとりでは、保育園児たちがお散歩中。
美しい町並みを見て育つ子どもたち。進学などで上京したら、さぞ…?
倉敷市にも国道沿いなどに量販店やファミレスが林立する”アグリーサバーブ”があり、そこで免疫ができるのだろう。
町家で営業している証券会社。大きな黒板に、端正な文字で市況が。
一方で、町家再生を主旨に活動する団体のポスターが目についた。
「居住人口も減少し高齢化が進み、コミュニティ形成や暮らし、風景に影響が
出てきている」と懸念を述べている。
晩御飯は知人に紹介された店、町家の続く界隈にある居酒屋「新粋」へ。
地元のアマチュアオーケストラの一員らしい隣席の女性たちが、音楽会の
ポスターの掲示を店主に頼んでいたり、お客さんは各々節度を保って
飲んでいて、なごやかだけれど騒がしさもない。
おでんが自慢の店なのに、瀬戸内海の小さな魚介が珍しくて、そればかり
注文してしまった。
ひとは育った環境に影響されることが多い。ここでは文化活動も盛んなのだろう。
その舞台としても"絵になる"町。
今度はいつ、来れるかな…。
町家(まちや)や蔵などの歴史的建築群や独自の文化を核に据えた地域振興の
成功例として知られる。文化庁選定の伝統的建造物群保存地区でもあり、
地域振興や観光客の誘致を目指す国の市町村にとっては、お手本のような
存在だ。
なだらかな低山を背景に、柳並木が影を落とす倉敷川沿いに白壁・なまこ壁の
町家(実際に人が住む)をはじめとした歴史的建築や大原美術館・アイビー
スクエア・倉敷民藝館、倉敷考古館が美しい町並みをつくる。
江戸幕府の直轄地「天領」として栄えた倉敷だけに、財・知の粋を集めた「美観
地区」の醸す雰囲気は、他の追従を許さない観も。
1930年に開館したわが国の西洋美術館の先駆け、大原美術館。エル・グレコ
「受胎告知」やモネ「睡蓮」の所蔵品はあまりに有名だが、初見参のフォートリエ
「人質」が強く印象に残った。
本館・工芸館・東洋館からなるが、東京・駒場の民芸館をよく訪れる身に、
宝箱のような工芸館は立ち去りがたく、順路も無視してウロウロ。
美術館の敷地内。茅葺屋根の小さな建物は守衛さんの詰め所。
なまこ壁の後ろにビルが見えるが、違和感はあまりない。高さも色彩も厳しい制限があるのだろう。
ホテル・結婚式場を擁する複合型観光施設・アイビースクエア。倉敷紡績の
工場を、1974年、この町出身の建築家・浦辺鎮太郎によるリノベーションで
オープンしたもの。
中庭の池には、フランス・ジベルニーのモネの庭から大原美術館に贈られた
睡蓮を株分けしたものが咲いていた。写真ではわかりにくけれど、鮮やかな
ピンクの睡蓮もあった。
平日だったので、この町の素顔のようなものも見ることができた。倉敷川のほとりでは、保育園児たちがお散歩中。
美しい町並みを見て育つ子どもたち。進学などで上京したら、さぞ…?
倉敷市にも国道沿いなどに量販店やファミレスが林立する”アグリーサバーブ”があり、そこで免疫ができるのだろう。
町家で営業している証券会社。大きな黒板に、端正な文字で市況が。
一方で、町家再生を主旨に活動する団体のポスターが目についた。
「居住人口も減少し高齢化が進み、コミュニティ形成や暮らし、風景に影響が
出てきている」と懸念を述べている。
晩御飯は知人に紹介された店、町家の続く界隈にある居酒屋「新粋」へ。
地元のアマチュアオーケストラの一員らしい隣席の女性たちが、音楽会の
ポスターの掲示を店主に頼んでいたり、お客さんは各々節度を保って
飲んでいて、なごやかだけれど騒がしさもない。
おでんが自慢の店なのに、瀬戸内海の小さな魚介が珍しくて、そればかり
注文してしまった。
ひとは育った環境に影響されることが多い。ここでは文化活動も盛んなのだろう。
その舞台としても"絵になる"町。
今度はいつ、来れるかな…。
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