高速道路の渋滞が予測される夏休み初日。
紅茶のペットボトルを手に、新宿発山中湖行きのバスに乗り込んだ。

案の定、車は遅々として進まない。
後方についているトイレのおかげで、渋滞も気にせずに山中湖に着けると、
書類を見ながらボトルを飲み干した。

乗車一時間ほどして後方を見ると、トイレが見当たらない。


まさか!
もう一度後ろを見るが、やはり無い。
一時間も経っているのに、まだ調布にも着かない。
横のゼミ合宿風学生に、休憩はどこら辺?と聞くと、
まだまだじゃあないですか、とつれない返事。

このぶんでは、休憩場所までとてももたない。
絶望的な気分でいると、隣の学生のスターバックスの透明プラスチックコップが
目に付いた。
最悪の場合、スタバのコップだ!
一番奥の座席が空いているから、借りて検尿みたいに使えば何とかなる。
落ち着け、落ち着け。

しかし、次第に苦しみは限界に達してきた。
バス停で飛び出すか、スタバのコップか、決断しなければ。
そうこうしていると調布に着いた。

スタバのコップにはまだコーヒーが残っていたので、
一挙に運転者にトイレを告げて飛び降りることにした。
そこでひと息ついたが、30分後にはまたいきたくなるのでまだまだ不安が残る。
そして一時間後又、バス停で降ろしてもらった。
こうなると破れかぶれで、運転手にサービスエリアごとに休んでくれと
申し入れたが、このバスは休憩がありませんとの返事にびっくり。

それでも申し入れが効いたのか、運転手は
サービスエリアでトイレに行きたい人はボタンを押してくださいとアナウンスして、
結局談合坂ではトイレ休憩を取ってくれた。
きっと他にも我慢できない人がいてホッとしたことだろう。