東京・港区のパナソニック電工 汐留ミュージアムでヴォーリズの建築展が
開かれています。
個人的に懐かしい作品があったので、足を運びました。

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories、1880-1964)は
アメリカ生まれの明治?大正期の建築家・宣教師。
1905年(明治38年)に来日し、英語教師として滋賀県近江八幡の商業高校に
赴任しましたが…。

※その生涯と作品・建築理念についてはネットで検索をどうぞ。たくさん
ヒットしますから。^^

代表的な作品が写真や縮小模型で展示されていましたが、中でも、明治期、
避暑地として発展した軽井沢に、彼が自身と妻のために建てた
“九尺二間の山荘“(1920年竣工)
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の原寸大模型が強く印象に残りました。

模型に入ってみました。撮影不可ですので、内部の様子は
こちらを。
http://www.vories.co.jp/work/?command=detail&pcategory=residence&pno=6

軽井沢でも多くの山荘を設計・建築したヴォーリズですが、自身の山荘は、
その中で最小ともいえる、わずか10坪の木造平屋。
板張りの約10畳の居間に2段ベッドの寝室+台所(ともに1坪ほど)+浴室
+トイレという、必要最小限の間取です。

造り付けの小さな本棚のある簡素な居間に不釣合いなほど大きな暖炉は
なかなかの迫力。
暖炉はヴォーリズ建築の重要な要素でもあるけれど、
夏も暖炉を焚く場面のある軽井沢では、安らぎの象徴といえるのでしょう。

夫妻は毎夏、休暇に訪れましたが、第2次大戦末期は、疎開(強制?)のため、
数年にわたって滞在したそう。

居間の二方にある、大きな格子窓には森の風景が広がり、室内にいても
森との一体感が。小さくとも、豊かさを感じる空間です。


虚飾を排した姿は、鴨長明「方丈の庵」、ル・コルビュジェ「カップマルタンの
休暇小屋」、増沢洵「9坪ハウス」、ソローのウォールデン湖畔の小屋にも
似て、高潔ながら温かなオーラが漂っているようでした。

「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展  恵みの居場所をつくる」 〜6月21日まで。
http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/exhibition/09/090404/index.html


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話は変わり、5日発売の「リゾート物件情報・夏号」の特集は、
「森の住人になる」。
テーマの一部として”森の中で小ささを謙虚に楽しむ簡素な小屋”を
ご紹介。
前出のヴォーリズの山荘とも響きあうものがあると思います。
敷地の環境、かたちや光のうつろい、風の流れなどを見ながら、
じっくり土地と向き合い、考えつつ、楽しみつつ、
家を建ててゆきたい方のご参考になれば幸いです。