紋別のホテルの屋上からは、オホーツク海から朝日が昇るのが見える。5時に日の出と張り紙があったので、屋上で撮影することにした。誰も来ないと思ったら、あとから次々に見物する人が増えて、10人ほどになった。あいにく、水平線の上には厚い雲がたれていて、日の昇るところは見えない。

屋上は、寒くて薄着ではとても立っていられない。
5時を5分過ぎても朝日は見えないが、紋別港に停泊していた漁船が、次々と岸壁から離れて港の出口に向かっていく。そして停泊していた漁船は全部、沖に向かっていくのだ。日の出は見えなかったが、出港する様子はとても勇ましい姿だ。

漁船団が、沖合いまで進むのを見て、部屋に引き返したが、見物人はもう誰もいなかった。
しばらくして、太陽が雲の上に出たので、せっかくだから撮影しようとまた屋上に上った。すると、今度は違う港の入り口から、次々と漁船が帰ってくる。きっと、昨夜出港した漁船団が戻ってきたのだろう。
夜と朝に漁船団は出港するのだろう。さっき出て行った漁船団とは沖ですれ違ったに違いない。船の上でお互いにエールを送りながら、すれ違うのだろう。
紋別の漁船は、日の出とともに出港し、日の出とともに帰港するのだ。