次の日、知人に銀杏のことを話したら
沢山あって拾うのに苦労したと報告を受けた。
それならと私は、翌日早朝いっぱい袋を持って自転車で新宿駅に向かった。
道のりは遠かったが、銀杏蔵が作れるかもしれないと、
上り坂もなんのその一挙に新宿駅に着いた。
ところが、駅には沢山のバスが勢ぞろい、
バスツアーに乗る人でごった返している。

目的の場所は、きれいに掃除してあって、銀杏は見当たらない。
ツアーガイドが、秋の味覚ツアーの客の搭乗を呼びかけている目の前で、
ゴミ拾いみたいに、銀杏を捜したが、1つか2つしか見つからない。
きっと観光会社が、私みたいな強力なライバルを恐れて、
銀杏をことごとく処理してしまったに違いない。

銀杏蔵の夢は破れた。
このまま、帰るのは悔しいので、周りを探したら、
車道側から見ると少し取り残しがあるようだ。
全部で200個ぐらいは取れたかもしれない。

来年は、銀杏蔵を作ろう。
帰る途中、小学校の庭から飛び出て、ざくろが、熟しているのを見つけた。
年配のご婦人が、小学校はこのままにしていると嘆いていたので、
塀をよじ登ってざくろを収穫してきた。
はさみを貸してくれるといった年配のご婦人に
大きなざくろを二つプレゼントしてきた。