長野県北部に位置する小布施町。
1980年代以降、北斎と栗菓子を中心に据えた積極的なまちおこしによって、
今や年間120万人の観光客を集める。
さすがにお正月とあっても、雪のなか、0℃近い気温では、歩いているひとは
まばらだ。
null null

お昼は、栗菓子製造の老舗のひとつ・竹風(ちくふう)堂本店へ。
本店の敷地内に日本の照明器具や土雛の博物館を併設、長野市内には
池田 満寿夫美術館を擁するメセナ活動に熱心な企業としても知られる。


食事どころは2階。階段の吹き抜けには竹をモチーフにしたオブジェが下がって。
null null

20年余りに及ぶまちなみ修景事業によって、窓から望む風景にも調和が
感じられる。
左は酒造場の煙突。瓦屋根越しの黒姫山も趣がある。
null null

お通しは、煎りたての銀杏。
null
甘味どころゆえ、食事のメニューは栗おこわを中心に、むかご(ヤマノイモ)の
味噌和え、凍り豆腐と山菜の煮物やニジマスの甘露煮などの郷土食、みそ汁
のセットのみ。
null null

ほっこりと蒸しあがった栗、つやつやとやわらかなおこわは、素朴で優しい味。
濃いめに味付けたむかごや煮物と好相性。
null

デザートはほとんどが栗を使ったもの。
null null
雪の中、暖かい部屋で頂く冷たいアイスクリームは夏よりも美味しい。

帰り際、「当店は国産の栗のみを使用しております」の張り紙が目に留まった。
いかに江戸時代からの献上栗のまちでも、現代の需要には栗の生産が
追いつかないのだろう。

江戸時代、千曲川の河川交易で富をなしたこの地の豪商・高井鴻山が江戸から
北斎を招聘し、アトリエを建てて厚遇するなど豊かなまちだった小布施。

1970年代後半、初めて訪れたときは、近くの採石場からダンプがひっきりなしに
往復する埃っぽい地方のまちという印象だったが、その後のまちなみ修景事業を
はじめ、音楽祭、”見に”マラソン、オープンガーデンなど積極的なイベントの
相乗効果もあって、多くの観光客を魅きつけている。


帰り際、みつまたの蕾を見つけた。
花が咲くのは雪解け以降…ずいぶん先のことのように思える。
null

シーズン中はたいへんな人出を呈するから、冬の静かな小布施を訪れるのも
一興かもしれない。
温かい服装と滑り止めのついた靴は必須ですが^^;