標高2000m、天空に近い高原の山肌にさまざま色や形がゴチャゴチャと。
思わず車をとめて見入ってしまった。

美ヶ原高原をひさびさに通過した昨年、初冬のことだ。
ここには地名を冠した美術館があったはず。ずいぶん昔に来たっけ。

双眼鏡でたしかめると、おもちゃ箱をひっくり返したかのように見える
のは美術館の野外アートたちだった。
 

コレクションが増えすぎたのだろうか(作家だって、丹精込めて制作した
自分の作品があのように密集して置かれるのは不本意だろう)。

同館のウェブサイトを見ると、はるばる鑑賞に訪れたひとびとのために
楽しそうな試みもたくさん準備してくれているようだが…。




館から目を転じると、氷の溶け始めた霧氷があり、こちらの造形に惹かれた。



一方、ここは神奈川県相模原市の藤野地区。
1980年代以降、芸術村構想を中心にまちづくりを進め、現在、
30あまりの作品が地域内に点在している。

相模湖畔には「カナダ雁」(ジム・ドラン)。


低木の中に鮮やかな赤が隠れていた。「景の切片」(菅 木志夫)。


橋のたもとには「記憶容量ー水より、台地より」(岡本 敦生)。


藤野芸術の家の敷地内には「空と大地のヒューズ」(高橋 政行)。


役所の玄関脇には「バッファロー」(ジム・ドラン)。


藤野を歩いていると、いつの間にか、
カフェの看板も、

茶畑も、

神社の鳥居すら、新鮮な感覚で”鑑賞”してしまう。


ごく自然に風景のなかに溶け込んでいるアートの数々が、私たちの
心の中の何かを目覚めさせてくれるのだろうか。