小淵沢の駅裏小海線に沿って、八ヶ岳には乗馬クラブが多い。乗馬クラブのメッカと言える場所だ。どこも規模が大きく、宿泊施設もある。45年ほど前は、小淵沢の駅裏は、広大な原野でほとんど何もなかった。白馬の土地を売っていた時、満州馬賊の人が客にいて帰りに八ヶ岳の知人のところに寄ろうということになり、途中下車して乗馬クラブにつれてこられ宿泊し翌日初めての乗馬に挑戦した。

当時も今もそうだが、乗馬は貴族のスポーツで、集まっている人には気品があり、凛とした雰囲気のある人ばかりが、そこにいたのを覚えている。当時人気絶好調だった、尾崎きよひこなども時々来るようだった。
この場所を尋ねてみようと小淵沢まで来たが、あちこち聞いても誰もよくわからない、乗馬クラブも数件寄ってみたが、40年以上前の乗馬クラブを知っている人はいない。このあたりと見当をつけて尋ねた乗馬クラブの女性オーナーが、ユーカリかも、と説明してくれた。オーナーは山口おとや(社会党浅沼暗殺者)をかくまっていた人だ、と説明したので、ユーカリが目指す場所だとわかった。代替わりして、新しく運営されているとのことで、そこまで車で10分ほどで着くことができた。

事務室で挨拶して写真を取らせてもらったが、なんとなく馬に乗った思い出がよみがえった。まだ20歳代のときに、なにかとても計り知れない世界の人たちと接しているのだと、そのときは感じていた。
少し離れたところには、馬に乗って訪れることもできるレストランもあり、馬中心で作られているような街が小淵沢の駅裏の景色だ。